堀江貴文氏の『多動力』が発売前に2万部の重版が決まり、すでに5万部を突破する、異例の売れ行きとなっている。
あらゆるモノがインターネットにつながることによって出現したのは、全業界のタテの壁が溶けてなくなった、フラットに開かれた社会だ。このかつてない時代では、業界の壁を軽やかに飛び越える「越境者」にこそ、チャンスがあるという。堀江氏は、「1つの仕事をコツコツとやる時代は終わった」と断言する。これまではネガティブにとらえられていた「多動力」こそ、未来の日本人に必須のスキルとなるのだ。
「多動力」とは何か。それは、いくつもの異なることを同時にこなす力のことを言う。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170529-00173521-toyo-bus_all
堀江貴文氏の「他動力」。
このタイトルを聞いた時に、ある大手企業に勤める人事担当の友人との会話を思い出した。5年前くらいの会話である。
私「新卒採用ってどんな人材を採用するの?」
友人「んー。うちの会社では、学生時代に、部活も研究もバイトも資格取得も頑張りましたみたいな人を優先して採用するね。行動におけるエネルギーレベルが高い人というカテゴリなのかな。」
5年前のことであるので堀江氏の「他動力」という考えは世に出ていなかった。そのため、友人は求める新卒採用の素養を「他動力」であると言い切ってはいないが、友人の話を総括すると「他動力」が秀でた学生を採用するんだと言っていたように思える。友人は本当に大手企業の人事担当であることから、少なくても5年前からは企業は「他動力」がある人を優先的に採用していたと考えられる。
しかし、堀江氏が直筆書で語る他動力と、企業が求める他動力は、近しいものではあるが、異なっていると考える。
異なっている点はなにか。
それは、興味を持った分野を、堀江氏は「飽きたら辞める」のに対し、企業が求めるのは「きっちりやり遂げる」点である。
「きっちりやり遂げる」とは言っても、なにも完璧に成果を出すまでやれと言っているのではない。一度手を出した仕事は、終わらせる際にも筋を通す必要があるよねというだけである。堀江氏が言う他動力では、様々なことに興味を持ち熱しやすく冷めやすい、次々と手を広げていけるような人材がよいとされている。一方、ビジネスパーソンは、興味を広げていけるところはいいが、いったん手を出したことは、飽きたからという理由のみで撤退するなんて言語道断である。手を出した以上は、辞める際に合理的な理由を会社へ説明する必要がある。つまり、堀江氏が言う他動力に、この責任感がプラスされた人材が企業に求められる引く手あまたな人材であると考える。